モンゴル国バヤンウルギー県に住むカザフ民族の遊牧民は、4000年続く鷹匠文化を持っています。2010年には、ユネスコの世界無形文化遺産として、モンゴルやチェコ等世界で11か国の鷹匠文化が登録されました。
しかし、そのような鷹匠文化も気候変動や世界経済など様々な要因により徐々に衰退している現状にあります。特にカザフ民族の鷹匠を行う遊牧民は、アルタイ山脈を遊牧しながら家畜を飼育しイヌワシで鷹狩りをする生活をしており、大雪や寒波等の自然環境による影響を受けやすく大変厳しい生活をしているため、その文化を引き継ぐ後継者が減少しています。
一方、日本の「弓道」においては、古来よりイヌワシの羽は矢羽として弓道家にとても愛されてきましたが、世界的にその生育環境の悪化や乱獲により減少し絶滅の危機にさらされた結果、現在、イヌワシはワシントン条約に批准され、生体はもちろん羽も輸出入は禁止されています。
プレブスレン寺内は、イヌワシの生育環境保全とモンゴル国バヤンウルギー県のカザフ民族鷹匠遊牧民の生活の向上、及び、日本弓道で重要な「イヌワシ羽矢」を継承するため、イヌワシの羽をモンゴル国から日本へ輸入・販売を行ってきました。
また、その保護活動を通じて遊牧民の生活の向上とイヌワシ羽矢の原材料の安定的な確保を実現しました。イヌワシの羽の取引を行うことにより、イヌワシの生育環境の保護活動に繋がると共に、鷹匠にとっても貴重な現金収入をもたらします。
イヌワシは一年に一度羽が生え変わります。私たちは、鷹匠が収集、保管して持ってきたイヌワシ羽を、彼らが遊牧を終えて初秋に山を下りてきた際に売買を行います。その後、イヌワシ羽を日本へ輸入するに当たっては、モンゴル国からCITES輸出許可書を取得しています。
イヌワシの自然に抜け落ちた羽は、イヌワシにとっても鷹匠にとってもただの不要物(ごみ)ですが、弓道にとっては非常に貴重なイヌワシ羽矢の原材料です。
私たちは、2002年にモンゴル国においてイヌワシ協会を立ち上げ、イヌワシの保護活動とカザフ民族鷹匠の生活向上、日本の伝統文化である弓道の継承を行ってきました。
しかしながら、個人としての活動には限界があるため、この活動を弓道家・弓道学習者だけではなく、幅広い方々に周知し、継続していくために2023年8月25日NPO法人として新たに活動をスタートさせました。